【日本ダービー】北村友一騎手とクロワデュノールが大舞台で悲願の初制覇
北村友一騎手が大けがを乗り越え、デビュー20年目で日本ダービー初制覇を果たした。クロワデュノールとのコンビが世界へ新たな一歩を踏み出す。

北村友一騎手の信念と勝利
第92回日本ダービーは、1番人気のクロワデュノール(牡、斉藤崇)が勝利を収めた。北村友一騎手(38)は大けがを乗り越え、デビュー20年目で念願のダービー初制覇を果たした。斉藤崇史調教師(42)は、管理馬4頭目の出走で初勝利となった。
完璧な騎乗と人馬一体のレース
北村騎手は、好スタートから好位外で脚をため、1000メートル通過が1分0秒0のミドルペースで完璧なポジションをキープした。「プランはなく、馬と自分を信じただけです」と語る北村騎手。大逃げのホウオウアートマンを直線半ばでとらえると、先頭の景色を譲らなかった。「呼吸を合わせて、一緒に2400メートルを走り切った感じです。本当に人馬一体でしたよ」と勝利の喜びを語った。
今後の展望と凱旋門賞
今後は10月5日仏パリロンシャン競馬場の凱旋門賞(G1、芝2400メートル)をひとつの選択肢にして、馬の状態を見ながらオーナーサイドと協議される。「まだまだ伸びしろを感じますし、クロワの名が世の中に知れ渡るようにしたいです」と北村騎手は意気込みを語った。
クロワデュノールのプロフィール
- 父: キタサンブラック
- 母: ライジングクロス(ケープクロス)
- 牡3: 馬主 (有)サンデーレーシング
- 調教師: 斎藤崇史(栗東)
- 生産者: ノーザンファーム(北海道安平町)
- 戦績: 5戦4勝
- 総獲得賞金: 5億3248万6000円
- 主な勝ち鞍: 24年東京スポーツ杯2歳S(G2)ホープフルS(G1)
- 馬名の由来: 北十字星(フランス語)
北村騎手の精神力と準備
北村友騎手はどんな大舞台も緊張しない。09年にダービー初騎乗(シェーンヴァルト6着)を果たした北村騎手は自然体だった。「緊張は全くなかったですね。拍手、歓声がすごいなと思ったくらいです」と語る。その精神力は、究極の準備をもって体得した。「人間誰しも、できないことを披露しようとするから緊張するんです。例えば、僕がいきなりピアノの発表会をやらなければならなくなったら緊張します。だって、弾けないんですから。だからこそ競馬の前は100%準備をして、不安を全部消すくらい考えることを意識しています」と語った。
新たな1歩を踏み出す
北村友一騎手は大けがを乗り越え、クロワデュノールは皐月賞2着の雪辱を果たした。不撓(ふとう)不屈のコンビが世界へ。新たな1歩を踏み出した。【藤本真育】