ペイサーズの逆転なるか!? ハリバートンの不屈の精神が鍵を握るNBAファイナル2025

NBAファイナル2025で崖っぷちのペイサーズ。負傷しながらも戦い続けるハリバートンの不屈の精神がチームの命運を握る。

ペイサーズの逆転なるか!? ハリバートンの不屈の精神が鍵を握る

NBAファイナル2025は、ついに正念場を迎えている。現地6月16日(日本時間同17日)、2勝2敗で迎えたGAME5、敵地オクラホマシティでの戦いに、インディアナ・ペイサーズは109-120で敗れ、優勝に王手をかけられた。

この試合、ペイサーズのエース、タイリース・ハリバートンの存在は、試合展開と同じくらい大きな注目を集めた。1Q残り2分でコートから出ると一度ロッカールームに戻って右ふくらはぎに処置をしてプレーを再開(試合後、「ゲーム2のときに痛めたのと同じん場所」と語っている)。負傷を抱えながらも彼は34分間プレーしたが、6本のフィールドゴールをすべて失敗。得点はフリースローによるわずか4点のみに。プレーオフキャリアで初めてFG成功0本に終わるという結果となった。

「これはファイナルなんだ。ここに来るために、人生を賭けてきた。だから、歩けるならばプレーしたい。それだけのことさ」と、ハリバートンは試合後の会見で静かに語った。

「今夜の自分は“良かった”とは言えない。けれど、仲間の力になれることを探し続けた。ここに立つこと、それ自体が、自分にとって意味があるんだ」

チームの指揮官リック・カーライルHCは、ハーフタイムにプレー続行の可否を話し合ったことを明かしている。ハリバートン自身がプレーを望んだことで後半も出場となったが、彼の動きは明らかに制限されていた。

それでも、チームはハリバートンを中心に攻撃を組み立てようと試みた。

「P(パスカル・シアカム)にいい位置でボールを届けること、仲間にリズムを作らせること。自分ができる範囲でテンポをキープしようとした」と、ハリバートンは語る。「後半は走る展開に持ち込めたと思う。でも、それ以上にターンオーバーが多すぎた。自滅だった」。

ペイサーズはこの試合,22本のターンオーバーを記録した(サンダーは11本)。前半で10本,後半で12本という数について「シリーズ3敗すべてで,ターンオーバーが致命傷になっている」とハリバートンが言及したように,その部分で改善がなくてはゲーム6での勝利し,逆王手をかけることは難しいだろう。

試合は,最大18点のビハインドを背負う展開となったが,ペイサーズらしい粘りも見せた。TJ・マッコネルが3Qだけで13得点を叩き出すなど反撃の狼煙を上げると,4Q残り8分半には2点差にまで迫った。しかし,逆転は叶わなかった。

「正直,悔しい。でも,ウチのチームはどんなときでも戦う。何度も崖っぷちから這い上がってきた。今までだってそうだったし,次も同じ。だから,まだ終わっていない」と語気を強めたハリバートン。

ペイサーズのフランチャイズは,まだ一度もNBAチャンピオンに輝いたことがない。1970年代のABA時代に築いた栄光(70年,72年,73年で優勝)はあるが,NBAではNBAファイナル進出は今季を除いて1度だけ。その99-00シーズンも3連覇を果たすことになるシャック(シャキール・オニール)&コービー(・ブライアント)のレイカーズに2勝4敗で敗れている。つまり今,チームはその夢に最も近い場所に立っているわけだ。

「この街の人たちは,僕ら選手と同じくらい優勝を渇望している。それを肌で感じている」と,ハリバートンは言う。「インディアナはバスケットボールの街。チケットは親から子へと受け継がれ,何世代にも渡ってこのチームを支えてきた。そんな人たちの前で,すべてを出し切る。それが僕たちの責任だ」

ゲーム6はインディアナのホーム,ゲインブリッジ・フィールドハウスで行われる。負ければシーズン終了。だが,勝てば再びシリーズは並び,最終決戦のゲーム7へと持ち込まれる。

「ゲーム6は,もう実質的にゲーム7(最終戦)なんだ。後がないんだから」とハリバートンは言う。「だから,誰もが全力を出さなければいけない。まずは自分から。動画を見て,修正して,準備を整える。そして,絶対に負けないという気持ちを持って戦う」。

次の試合で,ハリバートンはプレーオフ22試合目となる。身体的な負担は蓄積し,限界が近づいているのは明らか。それでもなお戦おうとする意志の強さは,チームメイトに火を点けることだろう。

ゲーム6は,まさに運命を分ける一戦となる。シリーズを延命できるか,それとも今季が終わるのか。果たしてペイサーズに,どんな運命が待ち受けているだろうか。

NBAファイナル2025 試合結果一覧(サンダー3勝2敗)※試合時間は日本時間

  • GAME1(ホーム:OKC) ペイサーズ 111-110 サンダー
  • GAME2(ホーム:OKC) ペイサーズ 107-123 サンダー
  • GAME3(ホーム:IND) サンダer 107-116 ペイサーズ
  • GAME4(ホーム:IND) サンダer 111-104 ペイサーズ
  • GAME5(ホーム:OKC) ペイサーズ 109-120 サンダer
  • GAME6(ホーム:IND) 6月20日(金)9:30
  • GAME7(ホーム:OKC)6月23日(月)9:00 ※必要な場合のみ開催

放送/NBA Rakuten/WOWOW

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