2025年女子テニス界の新星とベテラン:上半期を振り返る
2025年上半期の女子テニス界を振り返り、新星とベテランの活躍を紹介。注目選手の成長と今後の展望を探る。

2025年も7月を迎え、激動する女子テニス界の上半期を振り返ります。今回は、台頭してきた選手たちとベテラン勢の活躍に焦点を当て、今後の展望を探ります。
新星の台頭
アレクサンダー・イーラ(フィリピン/世界ランキング56位/20歳)は、マイアミ・オープンでオスタペンコ、キーズ、シフィオンテクを撃破し、ベスト4入りを果たしました。2022年に全米オープンジュニアで優勝した後、少し伸び悩んでいましたが、プロツアーに慣れてきて才能が開花し始めました。左利きでパワフルなプレーが特徴で、ジュニア時代からナダルアカデミーで腕を磨いてきただけに、スピンがしっかりとかかったボールを打ちます。今後、アスリートらしい身体つきになってくれば動きも良くなるため、面白い存在になるでしょう。
ロイス・ボアソン(フランス/同65位/22歳)は、全仏オープンでベスト4入りを果たし、注目を集めました。彼女のボールはスピン回転がかなりかかっており、バウンドしてからも球速が落ちないので相当重いと思います。サービスも良く、フィジカルの強さもあります。彼女の腕や肩回りを見てみてください。かなり鍛えていることがわかります。この勢いが続くのかは未知数ですが、ケガを克服して復帰しているため、精神的な強さも備えていると感じます。
ビクトリア・エムボコ(カナダ/同97位/18歳)も全仏オープンで予選から3回戦に進出しました。かなりのポテンシャルを秘めた選手で、フィジカル的な要因もあると思いますが、スイングスピードの速さが驚異的です。ビリー・ジーン・キング・カップ(女子国別対抗戦)予選に出場し、有明でプレーしたのが4月。そのレベルから一気に駆け上がって、全仏オープンで3回戦に進むのは日本人選手にはなかなかないスピード感ですね。
ベテランの活躍
ジェシカ・ペグラ(アメリカ/同3位/31歳)、ジャスミン・パオリーニ(イタリア/同4位/29歳)、マディソン・キーズ(アメリカ/同8位/30歳)ら、キャリアが長くなったベテラン勢も活躍しています。若手とベテランの戦い方の違いに注目して見るのもいいでしょう。
出産からの復活
エリーナ・スビトリーナ(ウクライナ/同13位)、ベリンダ・ベンチッチ(スイス/同35位)、大坂なおみ(同53位)、そしてビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ/同87位)など、出産から復活してくる選手も増えました。スビトリーナは、今が最もフィジカルが良い状態にあり、相当努力してきたことがうかがえます。トップを走っていた彼女たちが、母親となってどう戦っているのか、バックグラウンドを含めて見ていくと面白いでしょう。
今後の展望
2025年下半期もテニス観戦を楽しんでください。新星とベテランの戦い、そして出産からの復活選手たちの活躍に注目です。
文●伊達公子 撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン ※ランキングは2025年6月30日付