野口泰司、新たな挑戦:くふうハヤテでプロ野球への夢を追う
野口泰司がNTT東日本からくふうハヤテへ移籍し、プロ野球への夢を追い続ける決意とその背景を紹介。


野口泰司の新たな挑戦
昨季まで社会人野球のNTT東日本でプレーし、日本代表にも選出された野口泰司捕手が、今年5月にくふうハヤテに加入した。野口は栄徳高(愛知)、名城大(同)時代からドラフト候補と呼ばれ続けてきたが、社会人で指名解禁となった昨秋も朗報はもたらされなかった。4度目のチャンスに賭ける今年、なぜ2軍球団へやってきたのか。その決断の裏側を聞いた。
指名漏れと新たな決断
野口は3度目のドラフト指名漏れとなった昨秋の状況をこう振り返る。「裏の話は分かりませんけど……。指名するかもという話までで、指名するという話はどこからもなかったんです」。社会人球界屈指の捕手として全国大会出場はもちろん、日本代表にまで選ばれた。入社から2シーズンを終え、3度目のドラフト対象となったが失意を味わった。そこで新たなシーズン直前に選んだのが、新天地への移籍。3月いっぱいでNTTを退社すると、4月のトライアウトを経てくふうハヤテにやってきた。
上を目指す強い意志
「とにかく上を目指したい。まずは2軍でプレーして、上に上がっていきたい。野球人生の中で、やれるチャンスは今しかない。今がベストコンディションだと思っているので、試してみたい」という強い意志が、思い切った行動へと踏み切らせた。近年、野口のような選択をする選手は増えつつある。昨秋のドラフトでソフトバンクから育成3巡目指名を受けた大友宗捕手は、帝京大から日本通運へ進んだのち2年で退社。1年間BCリーグの茨城でプレーして夢をつかんだ。昨季イースタン・リーグで首位打者と最多安打の2冠に輝いた知念大成外野手(オイシックス)も、沖縄電力を退社して2軍球団へ飛び込んだ。
選手の価値観の変化
学生生活を終えた後も野球を続ける場はかつて、社会人野球しかなかった。それが四国アイランドリーグやBCリーグなどの独立リーグが誕生して約20年になる。昨季からはくふうハヤテ、オイシックスと2軍リーグだけに参加し、ドラフトで選手をNPB球団に送り込もうとする球団も誕生。学生時代に花開くことはできなかった、遅咲きの選手がプレーする場が広がった。
野口も「会社に残ることはもちろん、将来的に安定はするんですけど、僕の夢としたらプロ野球選手になることが一番。今安定しても……と感じたのはあります。まだチャレンジしたいという感覚ですね」と、将来的な安定を第一義に置いての進路選択ではないと説明する。
大卒3年目の24歳。年齢的なリミットが近いのはわかっている。「プロを目指せるのも、大学出て2年、3年目くらいまでだと思うんです」と、今季に賭ける思いは強い。欲したのは、プロを真剣に目指す選手が集まる環境だった。
「プロに本当に行きたいとか、1軍でプレーしたいとかっていう目標を持ってたりする選手ばかりなので、考え方は本当に共通する部分がある。個人の成績も出さないといけないので」。社会人野球は会社のために、チームが勝つのが第一。2軍球団ではそれに加え、個人のアピールも必要になる。方向性の違いがあるという。