大相撲新時代の幕開け:大の里、横綱としての圧倒的強さとスピード
大の里が横綱としての圧倒的強さとスピードを見せつけ、大相撲界に新たな風を吹き込む。

◆大相撲 ▽夏場所13日目(23日、東京・両国国技館)
大の里の横綱としてのデビューは、まさに圧巻の一言に尽きる。琴桜との対戦では、立ち合いで体当たりを仕掛けるも、大の里の前に出る圧力は一線を画していた。右を差して足を前に送りながらの左のおっつけで、一方的に勝負を決めた。この一番で、両大関の力の差が歴然としていた。
大の里はすでに横綱級の強さを身につけている。その内容も文句なし。久しぶりのスピード豊かな大型日本人横綱の誕生と言えるだろう。モンゴル出身の力士が技巧派であるのに対し、大の里は真っ向勝負の正統派。師匠の二所ノ関親方に似ている部分はあるが、師匠より下半身に柔軟性がある。
来場所以降、最初は戸惑うかもしれないが、綱という地位に慣れてくれば強い横綱として長期政権を築く可能性はある。ケガで苦しみ短命で終わった師匠の無念をぜひ晴らしてほしい。
大の里の活躍は大相撲界に活気を与える。尻に火がついた豊昇龍。大栄翔や霧島、若隆景は空いた大関の座を必死に狙いにいくだろう。そして我らが琴桜。悔しかったら泣くまで稽古しろ。横綱という地位は琴桜が背負っている宿命だということを忘れるな。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)
報知新聞社