湊川親方と阿武咲の断髪式:永遠のライバルが語る相撲人生の絆
湊川親方と阿武咲の断髪式で語られた、二人のライバル関係と相撲人生の絆を紹介。

湊川親方と阿武咲の断髪式
2025年6月1日、東京・両国国技館で元小結阿武咲(打越奎也氏)の断髪式が行われました。約400人がハサミを入れ、師匠の阿武松親方の止めバサミで、まげと別れを告げました。打越氏は「最初はずっと我慢していたんですけど…途中から、もう、グチャグチャでした(笑い)」と、涙腺が崩壊していました。
永遠のライバル
小学生のころからライバルだった元大関貴景勝の湊川親方が、土俵に上がった時点で、打越氏の涙は止められないと覚悟していたのかもしれません。青森の打越と、兵庫の佐藤(湊川親方の本名)。同学年の中で、二人は小学生の時から突出していました。互いに身長には恵まれていなかったが、激しい立ち合いからの突き、押しと、相撲の形は似ていました。だから余計に「あいつには負けられない」と、強烈に意識し合うようになりました。
相撲人生の絆
湊川親方が引退後、明かしたことがありました。「本当は打越と話したかった。でもなれ合いたくはなかった。だから、あえて話さないようにした」。生涯のライバルと決めた相手だからこそ、巡業で一緒に全国を旅していても、一定の距離を置いていました。
第2の人生
打越氏は相撲界を離れ、4月から、せっけんや化粧品、スキンケア商品などを扱う会社に入社しました。自宅のある千葉県内から、勤務先の横浜市内まで往復130~140キロを連日、自動車を運転して通勤。接客や商品開発に携わっています。本場所は基本的に、勤務中や移動中でテレビ観戦できないことがほとんどだったという。ただ「自分で選んだ道。毎日が充実しています」と、新入社員として奮闘しています。
永遠のライバルとして
舞台は変わっても、湊川親方は「日本一」と呼ばれる弟子の育成を、打越氏は「日本一」と呼ばれる商品開発を目指しています。だから湊川親方は、敬意を込めて言いました。「オレらはいつまでもライバルだ」。第2の人生でも、どちらが先に「日本一」の称号を得るか競い合い、それを張り合いにしていくことになりそうです。
絆と理解
「いつかは、ゆっくり食事でもしながら話したい」。同じ言葉を、同じように照れ笑いを浮かべながら話していた二人。そんな簡単そうなことが、ずっとできないままの不器用な二人。それでも意地も体も、ぶつけ合ってきた二人にしか分からない絆があります。意識し続けた最大の敵は、最高の理解者でもありました。