2025年F1ベルギーGP:フェルスタッペンのエンジン交換とセンサー問題の真相

2025年F1ベルギーGPでのマックス・フェルスタッペンのエンジン交換とセンサー問題の詳細を解説。レッドブルとHRCの対応と今後の戦略を探る。

2025年F1第13戦ベルギーGPでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)のパワーユニットにデータ上で水圧が落ちるというトラブルが発生し、エンジン交換が行われました。HRCの折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネージャーは、この問題について次のように語っています。

「ベルギーGPの週末に、マックスのパワーユニットだけ冷却水の圧が微妙に落ちるという問題が起きていました。部品を交換しても原因が特定できなかったため、最終的にエンジンを交換する決断をしました。水圧が落ちたといっても長い時間をかけて徐々に下がっているようなもので、レースに使用しても走り切れるレベルでしたが、その原因が特定できず、レース中に突然落ちることも考えられたので、すべて交換したほうがいいという判断となりました。」

冷却水が漏れる原因として考えられるのは、エンジン(ICE)内部の冷却水回路、ラジエター、それをつなぐパイプ、それぞれの接合部分です。しかし、エンジン以外を交換してもデータが改善しなかったため、エンジン本体を交換しました。

折原GMによれば、水が漏れているのを直接目視で確認しているわけではなく、データ上で水圧が落ちているだけです。水圧が落ちる原因としては、外気温の変化やセンサーの誤反応が考えられます。

ベルギーGPでは交換したエンジンで問題なく完走したフェルスタッペン。HRCとレッドブルはハンガリーGPに向けて、対策を協議しました。

「ベルギーGP後、チーム側は車体を、我々はエンジンをチェックしたのですが、どちらにも問題が確認できませんでした。そうなると考えられることは、我々が見ているセンサーが騙されている可能性です。」

ハンガリーGPではパワーユニット交換を一切行っていなかったことを考えると、ベルギーGPで発生したフェルスタッペンの水圧低下は、センサーの誤反応の可能性が高いです。

じつはそのベルギーGPでは、センサーの誤反応がもうひとつ発生していました。レーシングブルズのアイザック・ハジャーは、レース序盤にポイント圏内を走行していたものの、レースを通して抱えていたある不具合によりペースを失い、最終的に最下位の20位でチェッカーフラッグを受けました。

「レースのほぼ全体を通してある問題を抱えていて、ペースが上がらなかった。完全にドライコンディションになったレースは途中からは、ただただ抜かれるだけだった。」

折原GMが次のように説明しました。

「レース中にエンジン側のあるセンサーに不具合が出て、フェイルセーフモードに入れて走っていました。そのモードで走ったことでエンジンは守れたのですが、パフォーマンスは落ちてしまいました。」

フェイルセーフモードとは、エンジンやシステムに故障や誤作動が発生した場合に、エンジンの被害を最小限に抑え、最悪の状態に陥らないようにするためにあらかじめ組み込まれたプログラムです。折原GMによれば、フェイルセーフモードに入った直接の原因はセンサーの不具合ですが、その不具合を発生させた原因は別にあり、該当する部品を全部交換してハンガリーGPに臨んでいました。こちらもハンガリーGPでは同じ問題は起こさなかった。

夏休み前の時点で、レッドブルのコンストラクターズ選手権の順位は昨年の3位より、さらにひとつ下がって4位となっています。

「昨年の後半から厳しい戦いが続いていて、今年もそれが続くと覚悟していたのですが、想像していた以上に厳しい戦いとなっていて、思っていたような結果がここまで残せないまま、前半戦が終了しました。」

ただ、折原GMは「オペレーションに関しては、2026年を見据えて新しいメンバーを入れてきましたが、前半戦では順調に成長してくれたことは収穫です」とポジティブな面もあったとも語ります。

そして、後半戦に向けて、次のように抱負を語りました。

「チャンピオンシップは厳しい状況ですが、最後まで1戦1戦ベストを尽くしたい。そのために、しっかりと準備して夏休み明け初戦のオランダGPに臨みたいです。」

レッドブル・ファミリーとともに戦う最後の後半戦。悔いのないシーズンを送ってほしい。

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